
羽山について

所在地:福島県二本松市戸沢
山系:阿武隈山地
標高:897m
選定:うつくしま百名山
羽山は二本松市東部に聳える阿武隈山地の一座です。山地の西縁に位置する独立峰であることから開けた山頂部は全方位の展望に恵まれ、周辺に広がる阿武隈の山々だけでなく吾妻、安達太良連峰まで見渡すことが出来ます。円錐形の山頂に露岩を戴く神秘的な情景と優れた眺望から人々に親しまれてきた二本松の山です。

山頂直下にはパラグライダーのテイクオフエリアが整備されている他、麓にはクマガイソウなどの貴重な山野草を楽しめる羽山の里クマガイソウ園や、「羽山りんご」と名付けられたブランドりんごの果樹園があり、当地のシンボル的な山として愛されています。
地理院地図には麓山(羽山)と記載されていますが、市や周辺施設では羽山と表記されていることが多いため当記事もそれに倣い「羽山」としました。阿武隈地域をはじめとした東北地方南部にはハヤマ信仰と呼ばれる山岳信仰が根付いており、ハヤマと呼ばれる山が数多く存在します。安達郡(二本松や本宮などを含めた地域でかつての二本松藩)におけるハヤマ信仰は安達太良信仰を起源としたものであり、ハヤマは安達太良山の遥拝所としての役割を持っていたのではないかという説もあり、山頂から安達太良の山容を余すことなく一望できる当地らしい名前に思えます。
南口ルートについて
麓山(羽山) / 白雀さんの麓山(羽山)の活動データ | YAMAP / ヤマップ
羽山には北口と南口の2つの登山口があり北口からは車で山頂まで登ることも出来るみたいです。今回は南口から登りました。残雪期だったので林道に雪が残っている可能性があったため、羽山神社の鳥居手前の路肩が広く取られている場所に車を駐めて登りました。
南麓に立つ鳥居の先の林道を車で進むと登山口の手前に駐車して山道の入り口から歩くことができますが、自分が行った時は道が一部崩れていて通れない状態となっていました(2026年現在は通行可能になっているようです)。
林道を歩いた先に登山道入り口があり、登山道もしばらくは車が通れそうな広い道になっています。東屋の建つ採石場跡の先は傾斜が強くなり、山頂まで岩場や階段が続きます。山頂直下には芝生広場が広がり、三角点周囲には露岩群が目立ちます。総じて整備が行き届いた登山道ですが山頂手前に軽い岩場などがあるので運動に適した装備が必要です。
また今回のような残雪期だと路面状況が不規則で歩きにくい場所が多かったです。特に山頂手前は傾斜が強く、もっと寒い時期にはチェーンスパイクや軽アイゼンが必要になりそうでした。残雪期にどうしても登りたいということでなければ無雪期に登るのがおすすめです。
羽山神社の鳥居から登山開始

今回のスタート地点である羽山神社の鳥居です。山頂に鎮座する羽山神社の参道入り口でしょうか。

しばらくは林道歩きです。

下から登ると林道の途中で羽山の山容を一望できます。

砂利道の途中で通行止めになっていました。おそらくこの先の道路崩落の影響だと思います。この辺りに車を停めて登ることも出来そうです。

山の影に入って雪が増えてきました。くるぶし〜脛の辺り程の深さはあり、ゲイターを付けておいて正解でした。

この時は途中で道が崩れていましたが、最近の登山記録を見ると修復済みのようです。

尾根に出ると雪が無くなり羽山の山頂が再び見えてきました。
採石場を越えて山頂へ

左手に羽山登山道の入り口が見えてきました。車が通行可能であればこの辺りに駐車して登ることもできるみたいです。

登山道はかなり道幅が広くて舗装もされており歩きやすいです。

しばらく進むとまた雪道が出てきました。凹状の道に雪が積もってハーフパイプみたいになっているのでそりでも持ってきたら楽しく下りられそうです。コースアウトが怖いですが。

採石場跡に着きました。奥に二つ並んだ鳥居が目印です。

山津見神社の大きな板碑も目を引きます。羽山神社の摂末社でしょうか。阿武隈で山津見神社といえば飯館村の虎捕山が最も有名ですが、船引や三春などにも点在しているようです。大山祇命を祀る山津見、三島といった神社は福島だとよく見かける神社であり、鉱山や採石場が多かった名残なのかなと思っています。

林の中に切り出されたらしき岩が積まれていました。阿武隈の山あるあるです。

登山道の脇には東屋が建てられているので休憩に最適です。

ここからは安達太良や吾妻がよく見えます。既に良い景色ですが頂上はもっと凄いです。

先ほどの鳥居をくぐって山頂へ向かいます。

採石場跡の先はこのように岩場歩きも出てきて本格的な登山道の様相です。

この辺りも採石場の名残のように見えます。

岩場の次は百段坂です。坂といえど階段が付けられていてだいぶ優しい道。

なのですが雪が積もっていると話は変わります。段差がどこにあるのか全くわからないので滑る滑る。案外右側が切り立っていてヒヤヒヤしながら登りました。こんな時に来る方が悪いと言われたら何も言えません。

階段を登り切って見晴らしの良い場所に出ました。パラグライダーのテイクオフエリアとして山頂直下が広く整備されており、北口からは車で山頂まで来ることもできるみたいです。

南の方には移ヶ岳がちらっと見えます。

山頂に目を向けると鳥居が見えてきます。木材の味を活かした渋い鳥居が良いですね。扁額も木目が出ていて格好いいです。

鳥居をくぐった先には石祠が二つ並んでいます。羽山神社ともう一つは山津見神社のものでしょうか。中に木札などは入っていなかったので分かりませんでした。

祠の後ろの岩場を登っていきます。岩の上には東和町時代の石碑が立っています。

御神体のような岩場に立ち入っていいのか悩みますが、石碑や山名盤が打ち込まれているのを見ると上に乗っても問題ないみたいです。富士山と書かれている通り、実は条件がそろえばここから富士山を見ることができます。かつては「富士山が見える北限の山」と呼ばれていたのですが、現在は北に11kmほど離れた花塚山で富士山の撮影に成功したことでその座を明け渡しています。とはいえ羽山の優れた展望が窺えますね。

山頂に着きました。三角点の周りに切り出されたらしい石材が埋め込まれています。切り出された岩を再利用して整備しているのが安達太良の山らしい風景です。こちらは福島に25ヶ所ある一等三角点の内の一つらしいです。
羽山山頂からの展望

山頂にから西を見ると鳥居の向こうに安達太良、吾妻、磐梯山が立ち並んでいます。日本百名山の三座を一挙に見晴らす贅沢な景色です。手前に立つ安達太良山に至っては裾野から立ち上がる山の全容を見て取れます。阿武隈の西端に位置する山ならではの絶景ですね。

北方面の景色です。画面真ん中左寄りに聳えるのが口太山、阿武隈の低山の中では急登や岩場が多く登りごたえのある山です。2ヶ月後の5月に登ったのでいずれ記事にまとめたいと思います。口太山頂上の向こう側に目を凝らすと白い塊が見えるのですが、この山塊が蔵王連峰です。

鳥居を出て来た道を戻っていきます。

山頂周辺にはツツジの低木や大きい松の木が生えていて阿武隈の山らしい景色です。高柴山や五十人山を思わせるのどかな景色です。

残雪期は下りがとにかく大変です。階段も岩場も雪で覆われていると等しく難所になります。

ヒヤヒヤしながら東屋まで下りてきました。お昼を食べながらちょっと休憩。

ここからは緩い山道を歩くだけなので気楽です。

無事に林道の入り口まで戻って来ました。
あとがき
二本松が誇る展望の山である羽山に登りました。残雪期にこういう低山に登る方はあまり多くないのでなかなか貴重な景色を紹介できたのではないかと思います。まだ雪が残る静かな山で抜群の景色を一人楽しむというのも良いものだなとしみじみ感じる登山でした。
公式サイト
二本松市 編『二本松市史』第9巻 (各論編 2 自然・文化・人物),二本松市,1989.5.
