
妙高山について
所在地:新潟県
山系:頸城山塊
標高:2,454m
選定:日本百名山
新潟県と長野県に跨る妙高戸隠連山国立公園。その新潟県側にある山の一つが妙高山です。長野県北部から新潟県上越地方にかけての地域は北信五岳を始めとして、修験の霊山として古くから信仰を集めてきた山々の宝庫です。中でも妙高山は北信五岳の最高峰であり、中央火口丘の妙高山とその周りに付き従うかのように聳える外輪山からなる山容はかつて山頂に祀られていた阿弥陀三尊を思わせるような美しくも威厳を感じさせる佇まいです。
妙高山の見どころ
妙高山は安山岩質の複式成層火山です。約30万年前から活動を始め長い休止期を挟みながら4度の大規模な火山活動を繰り返し、それぞれの火山活動は第Ⅰ~Ⅳ活動期と呼ばれています。第Ⅰ~Ⅲ活動期を経て大規模な山体を形成した妙高山は約4万年前から第Ⅳ活動期に入ると、約2万年前から約8000年前までの活動に伴う山体崩壊により現在の妙高山を特徴づける東に開いたカルデラを形成しました。以降の火山活動は約4200年前の最新のマグマ噴火に至るまでカルデラ内で繰り返され、現在の山頂部を成す中央火口丘が形成されました。
妙高山山頂とその外輪山が織り成す入り組んだ地形は登山道をよりバラエティが富んだものにするとともに、山の景色をより雄大に感じさせてくれます。山頂付近に多く見られる人の背丈ほどの岩石や、山中を流れる水が火山由来の温泉成分で川底を赤茶色に染める風景は、太古の火山活動の痕跡を今に伝える印象的な風景です。


燕温泉コースについて
燕温泉コースは舗装路、滝、鎖場などの変化に富んだ登山道が魅力です。全道にわたって整備が行き届いており、総歩行距離10km、累積標高1500mと適度に歯ごたえのある道のりで、これから本格的に登山に取り組んでみようという方には最適なコースといえます。妙高山に登ったのは2019年と結構昔でYAMAPを始める前だったのでデータは残っていませんが、夏の暑さにひいひい言いながら9時間ぐらいで完走した記憶があります。舗装路の区間がかなり長くて足への負担が大きいので、最後の方は膝に力が入らず足が棒になってしまっていました。適宜ストックを使ったり未舗装の部分を選んで歩いたりするなど工夫すればよかったのに、と登山のことを何も知らなかった当時の自分に教えてあげたいです。
燕温泉登山口から頂上を目指す
野尻湖畔を夜明け前に発ち、霧深い山道を抜けて燕温泉に着きました。

天気が悪くならないことを願いながら、登山口へと向かいます。温泉街から続くコンクリートの道がシームレスに登山道になっていて、しばらくは山中の舗装路を歩きます。

夏山の楽しみ、百合の花も綺麗に咲いていました。

微かに香る硫黄臭を楽しみながら2時間ほど平坦な道を歩くと、目の前に2段の滝が見えてきます。上から「称名滝」と「光明滝」です。温泉質の水によって水底がオレンジに染まって、青々とした夏の草木に色を差します。



この辺りから舗装は無くなって足元は角ばった岩場に変わっていきます。胸突き八丁と呼ばれる急坂が続き、一気に体力を奪われます。

背の高い木々が姿を消し始めたところで待ち構えるのが燕登山道の山場ともいえる鎖場です。傾斜は強いものの足場はしっかりくり抜かれているので、見た目より登りやすかったです。

この頃は登山にあまり慣れていなかったのでカメラはしまったまま鎖場を最後まで登っていたらしく肝心の鎖場の写真は撮っていませんでした。雰囲気としてはこのような溶岩らしいごつごつとした岩場を登るイメージで、しっかりグリップが効いて歩きやすかったです。

礫が増えてきて植生も変わってきます。鎖場の脇にはヤマハハコが群生していました。

妙高山から眺める夏雲
鎖場を過ぎれば山頂はすぐそこ。一気にペースを上げて頂上にたどり着きました。

山頂周辺には人の背丈を越える大きさの岩石が林立しています。数十万年に渡って激しい火山活動を繰り返してきた妙高山の歴史の一端が垣間見えます。

妙高山には北峰と南峰があるので忘れず両方登っていきましょう。往復10分程度で行き来できます。

頂上付近にはアザミが咲いていました。まるっとした大きい花が一株に2、3個咲いていてタテヤマアザミっぽいかなと思いますがどうでしょう。クマバチが山頂まで蜜を吸いに来ていて驚きました。

あいにくの曇り空でしたが、地平の向こうまで広がる雲海を背景にトンボが飛び回る光景を見ながら、夏の空気を楽しむことができました。まさに秋津洲の原風景といったところでしょうか。


その後は火山岩の作り出す景色を見回しながら山を降りていきます。

森の中に入ったところで周囲に霧がかかり始めたので、夏の花を眺めながら急いで登山口に戻りました。


燕温泉名物「黄金の湯」
登山後の楽しみといえば温泉ですが、ここ燕温泉登山口の出発地点付近には二か所の野湯があります。今回入ったのは「黄金の湯」という場所です。

洗い場もなく脱衣所も簡素な物ですが手入れが行き届いていて、気持ちよく汗を流すことができました。妙高一帯の温泉は湯の花の浮かぶ濃厚な泉質が特徴ですが、この黄金の湯も例に漏れず白いにごり湯に湯の花が大量に浮かんでいました。

黄金の湯の名前は紅葉の時期に周囲が黄金色に染まることに由来するそうなのでいつか見てみたいです。登山で疲れた体を癒してくれる、風情ある温泉でした。もう一か所の「河原の湯」はもっと森の中にあるようなのでそちらも気になるところです。
まとめ
2019年とかなり前の登山記録でしたがいかがでしたでしょうか。滝あり、鎖場あり、そして下山後の楽しみの温泉ありと山の魅力をぎゅっと詰め込んだかのような妙高山は私に登山の楽しさを教えてくれた思い出深い山なのでぜひ一度紹介したいと思い記事にしました。登山を始めたばかりの方も、たくさんの山に登っている方にもおすすめの山です。
公式サイト
早津賢二, 清水智, 板谷徹丸(1994)「妙高火山群の活動史ー”多世代火山”ー」『地学雑誌』103(3), 207-220(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1889/103/3/103_3_207/_article/-char/ja)
深田久弥(1978)『日本百名山』新潮文庫
岡陽子 編(2020)『日本百名山山あるきガイド 上』JTBパブリッシング