【阿武隈】常葉鎌倉岳〜春の花咲く周回コース〜【4月】

鎌倉岳アイキャッチ

鎌倉岳について

鎌倉岳の基本データ

所在地:福島県

山系:阿武隈山地

標高:967m

選定:花の百名山・東北百名山

阿武隈山地には鎌倉岳という山が二座あります。それぞれ田村市常葉と古殿町竹貫の山で、区別のために常葉鎌倉岳、竹貫鎌倉岳と呼び分けることもあります。今回登った常葉鎌倉岳は福島を南北に分けたちょうど真ん中あたりに位置しており、その標高は967m。なだらかな山々が立ち並ぶ阿武隈において、山頂にむき出しの岩塊を戴く厳めしい山容が一際目を引きます。付近の山に登ったときに鎌倉岳を見かけて、あの山に登ってみたいと思った方も多いことでしょう。堂々たるその風貌もさることながら、東北百名山や花の百名山にも選ばれるほどの魅力を持つ阿武隈山地屈指の名峰です。

登山道は急なところもありますがしっかり整備されていて歩きやすく、後半には一枚岩渡りや岩登りなどの軽いアスレチック要素もあり冒険気分で登ることができます。その尖った見た目の通り頂上からの景色は素晴らしく、麓から頂上まで楽しみの尽きない山です。

萩平から椚平の周回ルートについて

登山口は南麓の萩平(はぎだいら)と椚平(くぬぎだいら)、西麓の鰍(かじか)、北麓の小塚などがありますが駐車場が整備されている萩平登山口が一番登りやすくて人も多そうです。今回は萩平登山口から登頂し椚平登山口に下りる周回コースを歩くことにしました。椚平に至る道は幅3m程の窪みを持つ凹型になっており水が溜まりやすそう。雨の後などは萩平からピストンの方が歩きやすいのではないかと思います。

鎌倉岳 / 白雀さんの鎌倉岳(福島県田村市)の活動データ | YAMAP / ヤマップ

登山記録

萩平登山口から石切場

萩平登山口手前の駐車場から見た景色です。すでに写真左の方に鎌倉岳の頂上が見えています。スタート地点から頂上が見えると気分が上がりますね。

駐車場から登山口までは舗装路です。立派な杉並木の脇を歩いていきます。

4月ということでヤマブキが見ごろを迎えていました。野山に輝く山吹色を見ると春が来たんだなと実感します。

登山口周辺は綺麗な看板が立っているので迷うことは無さそうです。

林床にはフデリンドウが咲いています。一つの茎に複数の花をつけるのでブーケのようで綺麗です。

10分ほど歩いて登山口に着きました。しばらくは杉林の中の道です。

ヒトリシズカが群生していました。踏まないように気を付けて進みます。

エンレイソウです。大きな葉の上にちょこんと咲く黒紫色の花がミステリアスで綺麗です。花弁のような部分は外花被片(萼片)です。

近くにはシロバナエンレイソウも咲いていました。同じエンレイソウですがこちらには白い花弁があるのでかなり印象が違います。

杉の林床の登り坂を登っていきます。分岐にも丁寧に看板が立っています。

少し開けた場所に出ました。石切場と呼ばれるこの広場には花崗岩の岩がベンチ代わりにおいてあります。奥の方にもゴロゴロと岩塊が転がっているのが見えます。

岩場を登って頂上へ

ここから軽い岩登りが始まります。

傾斜はそこまででもないですが岩が大きくて登り応えのある道です。ロープもしっかりつけられているので不安はありません。

このあたりで足元を見ると花崗岩の小さい石が至る所に転がっています。阿武隈山地ではおなじみの光景です。

道中にはエイザンスミレが咲いていました。

山頂近くまで岩登りが続きます。

最後の看板を過ぎて階段を上がります。

山頂に着きました。麓から見えていた岩場に辿り着くと達成感もひとしおです。

遮るものが何もない頂上から見晴らす景色は最高でした。初春特有の茶色と新緑と濃緑の混じり合う渋い景色は見ているとなんだか落ち着きます。南には桧山と大滝根山、西には移ヶ岳が見えます。

山頂に祀られる天日鷲神社にお参りしていきます。祭神の天日鷲命は阿波国(徳島県)の忌部氏ゆかりの神です。阿波国および阿波の人々が海を越えて辿り着いたという伝説の残る安房国(千葉県南部)周辺で多く祀られています。南相馬の日鷲神社は当地を治めた相馬氏とともに下総国から伝わったと言われていますが、この神社はどういった経緯でこの鎌倉岳に祀られているのか気になります。他にも田村市や三春町周辺に天日鷲神を祀る神社が複数みられるのも興味深いです。ともあれ遠く徳島県との繋がりを阿武隈の山の上で感じるのは神社の面白いところだと思います。

パンを食べながらぼーっとしていたら蝶が飛んできました。山頂まで飛んで来れるとは羨ましい。

椚平登山口へ下山

カロリー補給も終わったので下りていきます。登る時は岩登りに必死で気付きませんでしたが横道にも大岩や一枚岩がたくさんあって寄り道も楽しいです。

石切場で道は分かれており、ここで来た道とは逆の東方面に向かいます。

椚平への道はゆるやかな広葉樹林で、萩平の道とはかなり印象が違います。

こちらでもフデリンドウは至る所で見かけます。

ゆるい下り坂のまま杉林に入ります。

杉林は徐々に雑木林に移行していきます。春の里山でよく見かけるムラサキケマンが群生していました。

養蜂箱やソーラーパネルの脇を通り過ぎていくと、鎌倉岳のビューポイントに辿り着きます。

道路に出たらしばらく西に進みます。4月下旬ですが山の麓には桜や桃の花がまだ残っていました。

天日鷲神社の標柱を目印に萩平の方に入り、鳥居が見えたら周回完了です。

あとがき

鎌倉岳は全道に渡って非常に快適な山行が楽しめる山で、綺麗な道標や丁寧に付けられたロープから整備が行き届いた登山道であることが見て取れます。山開き直前ということもあり、道中で登山道の確認をしながら登る地元の方や役所の方に会いました。楽しくて眺めもいいこの山が一番好きだと話しながら登る様子を見て、地元の人に愛されている山だと実感しました。

公式サイト

常葉エリア|田村市観光サイト


参考文献・Webサイト

田中澄江(1983)『花の百名山』文春文庫

林弥栄 監修(2021)『山渓ハンディ図鑑1野に咲く花増補改訂新版』門田裕一改訂版監修,山と渓谷社

畔上能力 編(2021)『山渓ハンディ図鑑2山に咲く花増補改訂新版』門田裕一改訂版監修,山と渓谷社