

この記事は鳳凰山周回2日目(鳳凰三山縦走~青木鉱泉)の登山記録です。1日目(青木鉱泉~鳳凰小屋)は下の記事をご覧ください。
鳳凰山について
所在地:山梨県
山系:赤石山脈
最高峰:2,841m(観音ヶ岳)
選定:日本百名山
青木鉱泉登山口からの周回ルートについて
登山ルートの詳細については1日目の記事をご覧ください。
地蔵岳(鳳凰山)・赤抜沢ノ頭・観音岳(鳳凰山)・薬師岳(鳳凰山) / 白雀さんの地蔵ヶ岳・薬師岳・鳳凰山の活動データ | YAMAP / ヤマップ
朝焼けに染まる地蔵ヶ岳

時刻は3時半、鳳凰小屋を出て地蔵ヶ岳への道まで来ました。昨日は明るい内に道を確認しておいたので迷わず来れました。こういう地味な準備というのが山では重要です。

真っ暗ではありますが、ドンドコ沢の道と比べると道が明瞭で迷いにくいです。

地蔵ヶ岳の手前に来ました。非常に見づらいのですがこの辺りは深い砂場の登りになっており足が取られやすいです。

右を見ればオベリスクのシルエットが暁の空に浮かび上がっています。

地蔵ヶ岳の鞍部にはたくさんのお地蔵さんが安置されています。朝陽に照らされて神聖な雰囲気です。

赤抜沢ノ頭と呼ばれる場所まで来ました。オベリスクの展望地として知られていて、世に出回っている鳳凰山の写真は大体この辺りから撮られているような気がします。ここから日の出を見るのを今回の大目標としていました。

曇っているので日の出が見られるかは分かりませんがとりあえず三脚を立てて待機します。

地平線の向こうから太陽が見えてきました。頭上こそ雲に覆われていますが東の方は晴れているようです。

朝陽が顔を出して甲府盆地を覆う雲海に色を差します。

白い雲海と赤い雲。朝ならではの鮮やかな景色です。

地蔵ヶ岳を赤い光が染め上げていきます。これだけ雲がある状態で日の出だけにとどまらずモルゲンロートが見られるとは望外の幸運です。

白い山肌にオレンジ色の陽光が映えます。純白の山体を特徴とする鳳凰山なだけあって朝焼けの景色は一層鮮やかです。

太陽が高度を上げて雲の裏に隠れていきます。日の出からわずか20分ほどの間でしたが最高の景色を堪能できました。頭上は分厚い雲に覆われていたからか日の出を観に来る人は1人もおらず、またしても絶景を独り占めしてしまいました。眠い目をこすりながら歩いてきたご褒美としてはこれ以上のものはありません。

お弁当を食べながらしばし東の空を眺めます。

朝ごはんの間も青空は出たり隠れたりを繰り返していました。オベリスクと青空の景色を何とか一枚撮れましたが、この日の午前中は概ね曇り空でした。
鳳凰山山の稜線巡り

朝の景色を楽しんだところで稜線歩きに出発です。地蔵ヶ岳の次に目指すは観音ヶ岳です。

稜線沿いの森の中を歩いていると鮮やかなピンク色の花を見つけました。南アルプス特産のタカネビランジ。砂礫の中に花をつける姿が印象的です。ナデシコ科マンテマ属の花で、平地でよく見る花で言うとムシトリナデシコと同属です。時期的には7月〜8月の花らしいので今回9月に見られたのはラッキーでした。

イワインチンも咲いていました。コンペイトウみたいなコロっとした可愛い花です。イソギクという海岸沿いに咲く花と近縁種で、氷河期から気候変動を経て山と海に別れたと言われています。犬吠埼に行った時に見たイソギクを思い出してなんだか感慨深いものがありました。

地蔵ヶ岳北面まで来ると観音ヶ岳の全貌が見えてきます。緑色の森の中に連なる白い稜線が美しい山です。

険しい岩場を下っていきます。大き目の岩もあるので歩きにくいです。

鞍部に着きました。白砂が広がる不思議な景色です。浜辺を歩いているような感触も面白いです。

東の空はすっかり青く染まっています。雲がある景色というのも神秘的で良いですね。

森の中をしばらく登っていきます。稜線歩きの途中に現れるこういう道が一番辛いです。

再び見晴らしのいい場所に出ました。砂場の先に岩場の登りが待っています。

振り返って地蔵ヶ岳を見てみます。やはりオベリスクの存在感は随一ですね。夜叉神峠から歩く場合はこの景色を眺めながら地蔵ヶ岳へ向かうことになるということで、そちらのコースも魅力的だろうなと思いました。天気が良ければ左奥に甲斐駒ヶ岳も見えるはずだったのですが今回は見えませんでした。

西には白峰三山がドーンと聳え立っているはずだったのですがこちらも雲に覆われていてよく見えませんでした。鳳凰山に登るか北岳に登るか結構悩んでいたのですが、雲の具合を見ると鳳凰山を選んで正解だったようです。

岩場には赤ペンキで印が付けられているのでこれに沿って歩いていきます。岩がちの道ではありますが稜線部はかなり広いので歩きやすいです。

岩場を越えると観音ヶ岳の山頂が見えてきました。

山頂に到着しました。

大岩が積み重なったピークで、岩の影には木彫りの観音様がそっと安置されていました。

岩の上に立ち南の方を眺めると薬師ヶ岳の向こうに富士山が顔を覗かせています。雲で隠れているかなと思いましたが何とか見えてよかった。

尾根を歩いていると顔の高さほどの岩の隙間からホウオウシャジンがひょっこりとご挨拶。土などほとんど無さそうな場所に根付き花をつけるとは凄まじい生命力です。イワシャジンの高山型で鳳凰山固有種という大変珍しい花なのでここに来たら絶対見ておきたいですね。花期は8〜9月なので8月中に来るのが安牌、今回訪れた9月中旬には花が咲き終わって実を膨らませている株も多かったのでギリギリセーフという感じでした。

マサ土の上を歩いていきます。砂場を歩いているような感じで体力は使いますが、登山2日目の足腰にはありがたいクッション性です。

白峰の方に雲間から陽が射してきています。南アルプスのダイナミックな山容が強調されるようです。

ハイマツと砂地の間を歩けば山頂はもうすぐです。

薬師ヶ岳に着きました。平坦で広々とした砂場になっています。

地図を見てみると双耳峰になっており山頂標の東に広がる尖った岩場のあたりが最高点のようです。

予定より早く着いたので薬師岳小屋に寄り道します。

薬師岳小屋は2017年に改装されたということで比較的新しめです。鳳凰小屋と同様に居心地が良さそうなので、次来る時は夜叉神峠から登ってこっちに泊まってみようかな。とりあえず登山バッジだけ買って引き返します。
中道ルートの樹林帯歩き

薬師ヶ岳山頂に戻ってきました。中道ルート青木鉱泉方面へ赤ペンキで大きく印が付けられています。

富士山を見ながら中道ルートを下っていきます。樹林帯に入っていくのでここで富士山は見納めです。

ひたすら樹林帯を下っていきます。

所々に林床まで陽が入ってきて明るい針葉樹林といった印象です。幼木らしき木々も繁茂しています。

暗く苔むしている場所もいい雰囲気です。

高度を下げていくとササが現れてきます。この辺りはダケカンバが多く見受けられます。道が広くて傾斜も緩いので足を休めながら進みます。

ササに覆われた明るい林に変わってきました。太さの揃った木々が立ち並ぶカラマツの人工林です。

緑のもこもこに覆われた木もあります。サルオガセと呼ばれる地衣類の仲間で色々種類があるようです。光が当たるとキラキラ輝き神秘的な雰囲気です。

林床を照らす木漏れ日が綺麗でした。

謎の巨大生物かと思ったら倒木でした。昔はこんな巨木が立ち並ぶ原生林だったのでしょうか。

鳳凰三山入り口の看板を過ぎると周囲は里山感のある雑木林に変わります。

朽ちた小屋の脇を通ります。暗い時来たらビビりそうです。

林道まで出てきました。ここから青木鉱泉へ歩いていきます。

砂利敷きの林道です。こういう場所ほど熊が怖い、ような気がしてしまうのは視界が広いからでしょうか。

苔むした謎の設備ってロマンがありますね。


青木鉱泉に近づいて来たら赤ペンキを目印に林道を外れて川に向かって進みます。

最後の最後に川を渡ります。膝下まで水に浸って靴までびしょ濡れになると、水の冷たさが疲れた足に染み渡ります。熱い夏の林道歩きを締める涼しい水浴びでした。

川から上がり水浸しの靴で駐車場に戻りました。

濡れた靴を履き替えて青木鉱泉へ。駐車場代を払うついでにお風呂にも入っていきます。

お風呂は1人だけでした。博物館で見るようなマッサージチェアが置いてあってレトロな雰囲気です。

窓の外から鮮やかな緑色の光が入ってきて癒されました。
公式サイト
深田久弥(1978)『日本百名山』新潮文庫
畔上能力 編(2021)『山渓ハンディ図鑑2山に咲く花増補改訂新版』門田裕一改訂版監修,山と渓谷社
清水建美 編(2021)『山渓ハンディ図鑑8高山に咲く花増補改訂新版』門田裕一改訂版監修,山と渓谷社
