
霧ヶ峰について
所在地:長野県
山系:山脈
最高峰:1,925m(車山)
選定:日本百名山
霧ヶ峰は長野県の中央部に位置する山域です。霧ヶ峰と名の付くピークは無く、主峰の車山をはじめとして殿城山や蝶々深山、鷲ヶ峰などの山々が連なる広大な高原地帯をもって霧ヶ峰と呼ばれています。ゆるやかな丘陵地を覆い尽くす広大な草原と、多様な植物に彩られる高層湿原が特徴であり、日本百名山や花の百名山にも選ばれる長野県有数の景勝地です。
西の車山肩駐車場からは40分程で山頂に至り東麓からはリフトも通っているので軽い散策に訪れる方が多いイメージの霧ヶ峰ですが、湿原を繋ぐような形で広範に登山道が整備されているのでハイキングから本格的な登山まで多様なルート構築で山歩きが楽しめます。
八島ヶ原湿原の花々

八島ヶ原湿原(八島湿原)は車山北西方面に広がる高層湿原です。ミズゴケをはじめとした貴重な動植物群が分布しており国の天然記念物に指定されています。湿原の周囲には木道が整備されており、雄大な霧ヶ峰の景色とともに多種多様な植物を観察することが出来ます。
車山肩から八島湿原~車山周回コース
蝶々深山・霧ヶ峰(車山) / 白雀さんの蝶々深山・霧ヶ峰(車山)の活動データ | YAMAP / ヤマップ
八島ヶ原湿原と車山を周回するコースの場合、起点は車山肩駐車場または八島湿原駐車場になります。今回は車山肩駐車場から八島ヶ原湿原方面に下って湿原を半周し、蝶々深山から車山乗越を経由して車山に登るコースにしました。
車山肩から北に下りる道はササで湿っている上に、露岩と砂利が多く滑りやすいので注意してください。湿原から蝶々深山へ向かう道中には岩の上を歩く場所もあるので周回コースを歩く場合は登山靴の方が歩きやすいと思います。
朝の湿原ハイキング

朝の車山肩です。日の出前に来て霧が晴れるのを待っていたのですが変化が無いのでとりあえず歩き始めることにしました。大体の人はここから車山に直接登るので八島ヶ原湿原への道は人の少ない静かな道のりです。

足元は砂利と岩が混ざった滑りやすい道です。湿原の近くまでは思いのほか傾斜の強い下り坂なので転倒注意です。

ススキが揺れる草原を歩きます。山の上は秋の気配が近づいています。

傾斜が緩くなり草原がササ原に変わってきました。まだ薄暗い林の中に白樺の幹が輝きます。

沢渡まで来ました。この辺りには山小屋やカフェが建っているので車がたくさん停まっていました。

叢の中にツクバトリカブトがたくさん花をつけていました。朝に見るトリカブトの青い花は尚更色濃く感じます。

ここまで下ってきたらしばらくは平坦で歩きやすいハイキングコースになります。

湿原の周りには整然と植えられたカラマツ林が広がっています。秋には一面オレンジ色に染まってさぞかし綺麗でしょうね。

橋を渡って湿原の西から時計回りに巡ります。

湿原の周りは木道が敷かれています。湿っていると少し滑るので注意してください。

鹿避けの扉を開けて進みます。これだけ広大な土地に柵を張り巡らすのは大変そうです。

湿原で最初に出会ったのはブラシのような姿が特徴的なサラシナショウマでした。風に揺れると動物の尻尾のようでかわいい花です。


コンペイトウのようなウナギツカミやワレモコウ。小さいですが鮮やかで綺麗な花です。



オミナエシにゴマナ、ヨメナなど秋らしい花々が登山道を彩ります。

フウロソウが一輪咲き残っていました。淡い色合いと遅い花期からするとタチフウロだと思います。

丸いピンクの花はヤマラッキョウです。この花は八島ヶ原湿原から車山周辺まで広い範囲に咲いていました。目立つ花なので写真を撮っている方も多くて霧ヶ峰のアイドルのようでした。ラッキョウという名前と華やかな花のギャップが面白いです。

名前も秋らしいマツムシソウが咲いていました。20分ほど歩いただけでこれだけたくさんの花を見ることができるとは流石天然記念物に指定されている湿原です。

歩いているうちに辺りが開けてきました。紅葉本番は10月以降らしく湿原はまだまだ緑の方が多い印象です。

朝霧が日の光に照らされて白く輝く神秘的な光景が広がっていました。

霧に包まれたと思えば急に青空が顔を出すこともあり、この日はずっと不思議な天気でした。刻一刻と変化する景色に目が離せません。

ノハラアザミの蜜を吸うヒョウモンチョウ。競争が激しいのか羽がボロボロの個体が多かったです。のどかな湿原ですが生き抜くのは大変なようです。

フワフワトゲトゲとしたハバヤマボクチの蕾です。花が咲くと先端からアザミのような筒状花が飛び出してきます。

木道の脇からエゾリンドウが顔を出していました。霧ヶ峰のものは一株一株が大きくて花が多い印象でした。
霧煙る高原を抜けて車山へ

1時間ほどで湿原を一周しました。柵を通って車山の方に向かいます。

今回は物見岩、蝶々深山を経由して車山に至るルートを選びました。ここから物見岩まで150mほどの登りです。

湿原への下り道と同様にススキが揺れる草原をひたすら登ります。道は基本的に踏み固められた土なので歩きやすいですが、部分的に岩場もありました。

東には車山から南の耳、北の耳に続く尾根が見渡せます。

振り返ると雲間から差す陽光が湿原を照らして輝いていました。

物見岩に着きました。大岩が3mほど積み重なったランドマークです。間近で見ると結構迫力があります。

蝶々深山へ進みます。

緩やかに折り重なる稜線を朝霧が包み太陽が優しく照らす様はまさしく「霧ヶ峰」の名に違わぬ風光明媚な景観です。

晩夏の色合いが醸し出すどこか物悲しげな雰囲気も風情があります。

見渡す限り広がるササ原の中を歩いていきます。

ピークの手前の道は緩い登り坂。

蝶々深山に着きました。ここまで来ると人がかなり増えてきます。

この辺りのヤマラッキョウは湿原のものより色が濃いようでした。

車山のピークが大分近づいてきました。気象レーダーの丸いシルエットが目印です。

蝶々深山を下って車山乗越へ。ここから車山への急登が始まります。

しばらくはスキー場の斜面を歩きます。

車山の東面には車山高原スキー場のリフトが通っています。向こうに見える湖がリゾート地として有名な白樺湖で、湖畔にはたくさんのホテルやペンションが建っています。右奥の方には蓼科山や横岳といった北八ヶ岳の山々が立ち並んでいますが今回は雲に覆い隠されていました。

最後はリフトで悠々山頂に向かう人たちを横目に、階段をひたすら登ります。周回ルートの中でここが一番辛かったです。でも振り返って眺める景色は最高でした。

車山山頂に到着です。山頂は広々としていて気象レーダーや車山神社、展望テラスなど色々見どころがあります。リフトやハイキングコースもあるので登山や観光の方が入り乱れたカオスな感じが面白かったです。東北の山では中々味わえない雰囲気でした。

車山神社にお参りしていきます。祠の周囲には大きな御柱が立っており青空に映えます。

山頂の景色を楽しんだので車山肩に下りていきます。

車山の西面は傾斜が緩やかで歩きやすい道です。ただし大きめの岩がゴロゴロしているので景色に気を取られて躓かないように。

見晴らしのいいハイキングコースを下りて駐車場に戻りました。
公式サイト
深田久弥(1978)『日本百名山』新潮文庫
畔上能力 編(2021)『山渓ハンディ図鑑2山に咲く花増補改訂新版』門田裕一改訂版監修,山と渓谷社
清水建美 編(2021)『山渓ハンディ図鑑8高山に咲く花増補改訂新版』門田裕一改訂版監修,山と渓谷社

